配送業や物流業といえば、トラック運転手が必ず関わり、また配送業や物流業の肝といえる職業であります。
トラックの運転手と一言でいえば、わかりやすい職業なのですが、小型や中型、大型などのトラックの大きさや、単距離、中距離、長距離などの距離、また配送するものなどによって、業務上のシステムや給料、待遇などが異なります。
ここでは、トラック運転手の基本情報や仕事の種類などから、
- トラック運転手が仕事としてきついといわれる理由
- トラック運転手のメリット・デメリット
- トラック運転手と類似してる仕事との比較
これらについて詳しく解説していきます。
トラック運転手がきついといわれる理由
トラック運転手といえば、一般的にトラックを使ってものを運ぶのが仕事であると誰もがイメージしやすく、実際にも広い定義で見ればその通りです。
ですが、冒頭にもあったように、トラックの大きさや移動距離、配送する商品などによって給料や仕事の内容などが異なります。
基本的には荷物をトラックに積み込み、その積み込んだ商品を届け先に届けるまで仕事であるため、仕事で使う時間のほとんどがトラックを運転することなのですが、「トラック運転手=仕事がキツイ」とイメージされることは少なくありません。
きついとイメージされる理由
トラック運転手がきついといわれる理由には、以下のようなことが考えられます。
- 夜通し運転する
- 荷積みや荷降ろしなど肉体労働
- ガテン系のイメージ
- 交通事故や違反のリスクがある
これらのことが主に考えられます。
短距離や中距離であればそうではないのですが、中長距離や長距離の場合は、移動距離と時間が長くなってしまうため、拘束時間が長くなってしまい、また夜出発の朝到着のケースが多いため、夜通しでトラックを運転することを余儀なくされることが多いです。
もちろん、トラックは一般道を運転するため、交通事故や交通違反のリスクも常についてまわります。
また、トラックで荷物を積む際には、主に2パターンあり、ひとつはパレットと呼ばれる1㎡ほどの板にあらかじめ荷物を積んでおき、それをフォークリフトで1つの塊としてトラックに積む「パレット積み」と呼ばれる方法と、荷物ひとつひとつをそのまま直接トラックに積み込む「平積み」や「直積み」などと呼ばれる方法があります。
パレット積みの場合は、出荷先や倉庫側があらかじめ荷物をパレットで準備してくれているので、あとはリフトを使ってトラックに載せるだけですが、「平積み」や「直積み」の場合はドライバーも一緒に荷物をひとつひとつ積まなければなりません。
小型や中型であればまだしも、これが大型トラックになるとかなりの重労働になり、また時間もかかってしまいます。
ひとつひとつのものが軽ければまだしも、例えば貴金属が詰まっている箱や、水物などの重い荷物になれば、かなりハードな作業になります。
この他にも、イメージ的にガテン系でパワハラされそうや、上記のような事情から労働時間が不規則になりがちなども、トラック運転手がきついといわれる要因だといえるでしょう。
- トラック運転手は距離やトラックのサイズによって内容が異なる
- トラック運転手がきついといわれる理由は主に肉体的な面
トラック運転手は距離によって違いがある
トラック運転手は距離によって分類することもでき、荷物を配達するという目的自体に違いはありませんが、細かい内容や傾向に違いがあります。
短距離ドライバー
主に宅配やルート配送などを担い、小型トラックを使うことが多いです。
基本的には拠点から配達先までに配送するケースが多いですが、運送会社の仕事の受け方によっては、直接工場に出向き、直接スーパーなどに配達するなどのケースもあります。
宅配の場合は運送会社の社員や従業員が配送するケースもありますが、個人事業主が個配として配送するケースも多くあります。
メリット
- 移動距離は短い
- 中型免許でいいのでなりやすい
- 時間の拘束が少ない
デメリット
- 基本平積み
- 距離の中では給料が安い
- 時間に追われやすい
中距離ドライバー
主に日帰りで配送できる距離を担うドライバーで、例えば隣の県への配達や、長くても県を1つまたぐ程度の距離がケースとして多く、中型トラックが主に使われています。
ですが、中距離でも長時間労働になるケースもあるため、運転上の注意はもちろん必要ですし、またトラックのサイズ的に荷物が平積みになるケースも多いた、体力的にハードになることもあります。
メリット
- 労働力と給料のバランスが良い
- 日帰りですむ距離なので働きやすい
- パレット積みになると労働力は極端に少なくなる
デメリット
- 平積みになりやすいケースがあり体力的にハードになることも
- 中型免許でもできるが大型免許を求められることがある
- 運送会社によって給料が安いこともある
長距離ドライバー
主に大型トラックを使って長距離を運転するため、拘束時間が長くなることが前提としてあります。
ですが、小型や中型トラックを使わず、また傾向的にパレット積みのケースが多くなるため、仕事の基本は大型トラックを長距離運転することが主になります。
割やバランスをいったん度外視すれば、給料面でも長距離ドライバーが一番高いです。
ですが、最大のネックは拘束時間が長くなることにあり、またパターン的にメーカーから指定される場所まで運ぶことが多いため、メーカーの業務時間や定時時間に合わせ、夕~夜発の朝~昼着のケースになることが非常に多いです。
メリット
- 給料は高いケースが多い
- 大型免許が必要となるので再就職や転職に有利
- 全国各地に行けるので運転好きには向いている
デメリット
- 拘束時間が長くなる
- 劣悪な環境の会社のブラックになることも
- 運送会社によっては償却制を採用していることも
基本的に距離と大きさは比例する
ここまでの解説である程度予想できると思いますが、トラック運転手は基本的は距離と車の大きさが比例します。
軽自動車を使った長距離運転などもありますが、基本的には距離が長ければ大型、距離が短ければ小型といったケースがほとんどです。
ですので、トラックの運転手に興味がある、これから転職や就職を考えている場合は、「短距離は小型が多い」「中距離は中型が多い」「長距離は大型が多い」と、それぞれ認識しておけば、運送会社選びの際にもわかりやすいでしょう。
- 距離とトラックの大きさは比例する
- 距離によって仕事内容や条件が異なる
- 長くなればなるほど給料は多い傾向
運送会社によっては償却制も
運送会社によっては償却制を採用しているケースもあり、この場合は一般的なサラリーマンして運転手する場合と、事情が大きく違ってきます。
個人償却の場合は、一般的な労働契約を企業とは結ばないため、個人償却の仕組みをしっかりと理解しておくことが大事です。
償却制とは?
運送会社における償却制は、個人償却とも呼ばれており、「仕事で使う車を持ち込む」「仕事で使う車を会社からリースする」など、個人事業主のような賃金体系が大きな特徴といえます。
以前から運送会社において、この償却制が採用されているケースが多く、1回の運送につき報酬を運転手の売上として設け、1ヶ月で売り上げた金額から、燃料費や高速料金、修繕費などの経費と会社側の管理費を差し引いた金額が賃金として運転手に支払われます。
メリット・デメリットがある
個人償却制は運送会社によって、採用しているかどうかに違いはありますが、償却制を前提として運転手を雇うケース、給料制と償却制をどちらかを選ぶケースなど、運送会社によって違いがあります。
個人償却は基本的に売上と利益で個人の収入を図りますが、これを運転手が受け入れた際には当然ながらメリット・デメリットが生じます。
メリット
- 固定給ではないため売上や利益のコントロールができる
- やり方や仕事の取り方次第では利益が上がることも
デメリット
- 運送会社によっては利益が少ない
- 事故や違反は個人の責任
- 基本リースになるのでトラックは個人資産にならない
これらのことがメリット・デメリットとしてあります。
一番のメリットはやはり、売上と利益のコントロールがしやすく、やり方や仕事の入れ方によっては多くの利益を得る可能性もあります。
例えば、長距離の場合、高速料金や燃焼費がネックになりますが、高速料金は夜間割引などがあるため、昼の配送を控え、夜間配送を中心に仕事を受ければ、高速料金を節約できたりなど、条件等はありますが、ある程度のコントロールは利きます。
ですが、その反面、デメリットも多数あり、個人償却の場合は管理費として運送会社に売り上げの数%や月額料金などを払う必要があるため、運送会社によっては利益が出にくいケースもあります。
償却制を求めて運転手をする場合は、運送会社に差し引かれる金額と、配送料金、また距離やものによる配送料金の相場を知っておくことが、利益を出すための大きなポイントといえるでしょう。
また、基本的にトラックはリースで貸し出されるケースが多いため、仮に運転手が破産した場合でもトラックは個人財産として認められません。
運送会社の就職・転職する場合は必ず確認を
上記の個人償却制は現在でも多くの運送会社が採用しています。
労働時間の規制などにより、以前よりは償却制を利用した悪質な体系は少なくなりましたが、それでも個人償却には上記のようなメリット・デメリットが存在するため、運転手として運送会社に就職・転職する際は、その運送会社が償却制を採用しているかどうかを、必ず確認するようにしましょう。
- 売上と利益で収入が決まる
- 運送会社によっては利益が出ない
- 車両はあくまでリースなので個人資産にはならない
トラック運転手をやって感じるメリット・やってよかったと感じること
上記ではトラック運転手に関してのさまざまな情報の紹介や解説をしましたが、やはり、トラック運転手を経験された方や、現役のトラック運転手などの、生の意見やメリット・デメリットは大いに参考になります。
ここからは、トラック運転手のリアルな声から、トラック運転手をやって感じるメリットや、やってよかったと感じることなどを紹介していきます。
全国各地さまざまなところへ行ける
これは長距離運転手さんの意見で多かったコメントで、大型トラックの場合、基本長期運転となり、仕事によっては全国至るところに行く必要があります。
そのため、運転が好きな方にとっては、ある意味旅行や観光感覚で運転を楽しむことができるため、これをメリットと感じている方も多いようです。
また、極端な話かもしれませんが、仕事であるがため賃金も発生し、また会社の経費で泊まり込んで誰かに気を使うことなくのんびりできるため、仕事の合間ではありますが、旅行や観光気分を味わえるのは、長距離運転手ならではの特権ともいえるかもしれません。
地理に詳しくなるためプライベートでも役立つ
長距離運転手に限らず、短距離・中距離でも、運転手は一般道を車で走行するのが仕事になるため、限定的ではありますが、地元以外の地理にも強くなります。
車を運転する方にとって、地理にや名称に詳しくなることはプライベートにおいてもメリットになるため、このような意見も多かったです。
例えば、一度仕事で訪れたことのある地域なら、プライベートにおいて車で走っても迷うこともなく、ストレスレスで旅行や観光、ショッピングなどを楽しめます。
運転技術が上がる
基本車に乗っていることがほとんどなので、トラックの運転手をすることで自然に運転技術が向上します。
また、トラックは一般車と比べると大きさも違えば、難度もトラックの方が高いといえるので、プライベートの車に乗った際にはその違いを確実に体感します。
また、トラック運転手は常に安全運転することを意識する必要があるため、これもプライベートの運転に反映されるため、プライベートで車を運転する際にも事故防止につながります。
転職や就職に有利
仕事上やプライベートのメリット以外でも、転職に有利になるといった意見も多数ありました。
中型トラックまでは一般的な車の免許である中型免許で仕事をすることが可能ですが、大型トラックの場合は大型免許が必要になります。
中型免許限定であっても、トラックの運転手を経験しているだけで、転職や就職に有利ですが、大型免許を所持しており、また経験者あることでさらに転職や就職に有利に働きます。
また、運送会社では車の免許の他にも、フォークリフトの免許や玉かけなどの特殊な免許を求められるケースが多いため、例え運転手を辞めたとしても他の職者や業種でも有利になります。
トラック運転手とフードデリバリー配達員、どっちが稼げる??
同じ配送の分野で最近注目されているのが、Uber Eats(ウーバーイーツ)をはじめとしたフードデリバリーサービスの分野です。
最近の自粛期間やホームステイなどの影響で一気に注目されたサービスですが、ものを届けるという点においては、配送業と目的は同じです。
フードデリバリーはトラックではなく自転車やバイク
フードデリバリーは、基本的に「飲食店の料理を個人に届ける」ことがメインになるので、一般的な運送会社とは違い、トラックのような大きな乗り物は必要ありません。
そのため、ほとんどの配達員が自転車で配達を行っているため、一般的な配送業とは根本的に仕事のやり方が違います。
しかし、雪の多い地域や家と家の距離が長い地方などでは、車が使用されているケースがありますが、それでもせいぜい軽自動車程度の大きさの車なので、やはり一般的な運送会社とフードデリバリーサービスでは、根本的に仕事の仕組みが違うといえるでしょう。
フードデリバリーの配達員は歩合制が多い
フードデリバリーサービスでは、基本的に完全歩合制が採用されているケースが多いです。
運送会社でいうところの、個配や個人償却に近い形ですが、単価的には長距離運転の個人償却よりも、個人事業主の個配ドライバーに近いといえます。
ですが、個配ドライバーの場合は、荷物をいったん拠点に集めて仕分けし、その後配りやすいようにエリア分けするケースが多いため、効率的な配達が可能ですが、フードデリバリーの場合は、注文のタイミングに応じて飲食店から個人へ配達するため、配送システムや単価が大きく異なります。
因みに、フードデリバリーの単価は時給換算で1500円~2000円ほどとされているので、個配とフードデリバリーの報酬を比較する際は、時給換算でどちらの方が稼げるかが大きなポイントになるといえるでしょう。
トラック運転手とフードデリバリー配達員は比較が難しい
上記のようなことからも、トラック運転手とフードデリバリー配達員は比較が難しいといえます。
使っている乗り物も違えば、報酬体系も違い、また配送システムも大幅に異なるので、比較が難しいのはある意味で当然です。
ですが、トラックの運転手の場合は、一般的なサラリーマンと比べ給料面や待遇面、体力などに関しては比較ができますし、また、フードデリバリーに関しては、一般的なアルバイトや上記でもあるような個配ドライバーなどと比較をすればわかりやすいといえます。
仕事のシステムや体力面・給料面などから自分に一番あっている仕事を
トラック運転手とフードデリバリー配達員、これらを単純に比較することは難しいですが、それぞれの仕事のシステム面や、給料・待遇、また仕事内容から予想できる必要な体力などから、目的や自己分析と照らし合わせることで、自分にとって何が一番向いていて、何が一番得なのかなどは、自然と見えてきます。
例えば、上記にあるようなトラック運転手のメリットを手放したくない場合は、フードデリバリーよりもトラック運転手の方が向いていますし、逆にデメリットをより多く感じ、体力的にきついと感じた場合は、フードデリバリー配達員の方が向いている場合もあります。
自分の目的や環境、また経済的な状況などに応じ、妥協点や譲れない点などを踏まえ、自分に合った仕事をバランス良く選ぶように心がけましょう。
- トラック運転手とフードデリバリー配達員では根本的なシステムが違う
- それぞれのメリット・デメリットをしっかりとおさえることがポイント
- 双方の比較は難しいので自分にとってどれが最適化を優先的に考える
まとめ
ここでは、トラック運転手についての仕事内容やメリット・デメリットなどを紹介しました。
トラック運転手とはいえ、距離や車の大きさでその仕事内容や給料は異なり、また、運送会社によっても給料面や待遇面に違いがあることがわかりました。
自分にとってトラックの運転手は合わないと感じれば、別業種への転職が対処法ですが、転職はしたいが運転手は辞めたくないといった方でも、例えば距離や大きさを変えたり、転職であっても運送会社を変えることで、不満を解消できる可能性は大いにあるといえます。
確かに、長距離運転手であったり、劣悪な環境ではハードであることは否めませんが、それでも上記のような対処法をすれば改善できる余地もありますし、また以前に比べると規制も増えたため、働く環境においても業界全体で改善されている傾向があります。
何度も同じことを繰り返すようですが、トラックの運転手に限らず、仕事を選ぶ検討する上では、自分の目的や将来のビジョンなどを踏まえ、計画的に仕事を選択することが失敗しない大きなポイントだといえるでしょう。
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